読書メモ:形の美とは何か(2)

形の美しさを考えるとき意味、内容と切り離して造形的要素だけで客観的に判断する方法が必要。
→「美的形式原理」

黄金比、シンメトリー、プロポーション、バランス、リズム、コンポジション……などのことを「構成原理」という。
構成原理が様々に重なって表現効果が生み出されることを「造形の秩序」
造形の秩序によるコントラスト、ハーモニー、バラエティの統一がないと美しい形と言えない


西洋だと……
シンメトリー、黄金分割が美の原理。
シンメトリーは安定した形。教会の見取り図などはほぼシンメトリー。
黄金比はa:b=b:(b+a)の比率。五綾星の図形ででてくる。古代ギリシャ人は人体の比率が黄金比になってる彫刻を多く作っている。
シンメトリーのなかでもルート短形の無理数のプロポーション(白銀比)をダイナミックシンメトリー、整数比のシンメトリーを静的シンメトリーと言う。

日本だと……
シンメトリーをもとに一部崩していることが多い。寺の建物の配置とか。

等量分割も多い。1:1 1:2 1:3など。1:2は畳の比率でもある。畳一枚ぶんがユニットの単位として扱われてきた。
三五の比、五八の比 ……建築や工芸で良く使われる。黄金比に近い比率。

畳(日本的比率の基本形)の比1:2は1:√4でもあるので、日本の建築には整数比と無理数のどちらもでてくる。両者がバランスをとって「日本的なプロポーション」になってるというのが面白いなぁーと思った。

あとキュヒズムがでてから黄金分割は古い、と烙印を押されたけれど、結局コルビジェなど機能美を追求した建築家や意匠家が人間の身体のプロポーションを考慮すると結局黄金比を使うデザインに戻っていったって話も面白かった。黄金比すごい!
機能美でいうと、飛行機は時代が進むにつれどんどん流線型になっていって(綺麗になっていって)結局オーガニック形態とかの自然形に近づいていくというのも面白い。美の原理でいうところの美しさと機能美は近い存在なんだなぁ。

形の美とは何か (NHKブックス)

形の美とは何か (NHKブックス)