情報社会のユニバーサルデザインを受講した

4月から仕事しつつ放送大学で「情報社会のユニバーサルデザイン」の授業を受けていた。
アクセシビリティに興味があるが、マークアップの知識以前に、そもそもユニバーサルデザインの考え方をちゃんと知りたかった、というのが理由。

ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインとは、「できるだけ多くの人が使えるよう、最初から考慮して、まちやもの、情報やサービスを作っていくという考え方・そのプロセス」のこと。

ユニバーサルデザインに近い概念もいくつかある。手法は違えど目指している世界観は同じ。

アメリカの公民権運動から、ADA法ができるまでの流れ、それからノーマライゼーションについて理解するにつれて
UDは人間観や、社会のあり方を考え直すような領域なんだと思うようになった。

リハビリテーション法508条とWCAG2.0

全授業の中で一番驚いたのがリハビリテーション法508条の実施サイクルで、当事者のモニタリングができることと市場の競争原理がきいてる点がすごい。よくできてるものだなと関心した。 日本にもVPAT(法令等のアクセシビリティの基準を満たしているかどうかを記載するための自己申告用のフォーマット)みたいな規格があるといいなぁ、とも。

WCAG2.0についてはいままでふんわりとしかわかっていなかったが

  • アメリカでは2018年のリハビリテーション法508条改定のときに、独自の基準からWCAG2.0を使用するように変更になっている。
  • JISX:8341-3:2016 は 国際規格のISO/IEC 40500:2012の一致規格で、WCAG2.0と互換性がある。
  • 今は先日WCAG2.1の勧告があったのと、大幅に改定がされるWCAG3.0の検討が進んでいるところ。

あたりを理解した。

合理的配慮について

はずかしながら「障害の社会モデル」というのを知ったのもこのときで 「合理的配慮」は障害者権利条約にでてくる言葉。
障害を「社会モデル」として理解する考え方に基づき、障害者の社会参加への困難は、等しく社会参加する機会が得られるように考慮されていないためであると考える。 講義冒頭「世の中には「健常者と障害者」がいるのではなく「配慮されている人とされていない人」がいる」という言葉がでてくるんだけど、確かにそうだなぁ、、。 合理的配慮の例としてアメリカの学校での例もたくさん見れた。別室受験・手話通訳・ノートテイカーなど。

おわり

この講義は障害者・LGBT・外国の方など多様性についても掘り下げていたり、 海外の事例や、障害のある学生の方々が機材の使い方を学ぶ活動の様子など幅広く映像で見れるのでその点もとてもよかった。 また、支援技術を使っているところも見ることができて、自分の関わるwebサービスがどのように見えるのか想像しやすくなったのもよかった。

ところで自分も10年ほど前に脊椎損傷で身体の半分の感覚を失ったり、足先が曲がらなくなってしまったりして日常生活にちょっと工夫が必要だったりする。
特に足は顕著で、パンプスは怪我以来一度も履いていない(というか足が変形して履けなくなってしまった)
靴が欲しいな〜と思ってウィンドウショッピングをしているとき、無意識に自分の足でも履ける靴を探している。 同じように、音声読み上げでも使えるかな?等の視点でサービス探しているひとが絶対いると思う。 webのマークアップをやっている身としては、やはりそのあたりに配慮できる人になりたいな。

googleアクセシビリティの記事の中でポットのもつアフォーダンスを例にしてセマンティクスについて書かれているところがあって、これが結構わかりやすくて好き。 セマンティクスの概要  |  Web  |  Google Developers 使いやすいUIというのはつまるところ、今まで積み上げられてきた慣習を無碍にしない、独自のUIを産み出さないこと。 でも現実はサービスのコンテキストに沿って独自の見せ方がどうしても発生してしまったりして、歯痒い思いをすることも多々ある。

今後はどのようにすればあまりみたことないUIをユーザビリティ高い状態にできるのか(あるいはその状況を避けるにはどうしたらいいのかの)引き出しをもっと増やしたいな